コラムColumn
グリーンキーパーのひとり言38
散水用水の活性化(1)
2010年02月22日
昨年末の歴史的な?政権交代から早数ヶ月。
日本が平成大不況から立ち直るために、政治にはほんの少し望みを託してみたものの、構造的な問題なのか、国民性なのか、デフレスパイラルは加速するばかりで、我々の目からは出口が見えてきません。
少子化、高齢化に向かう流れは間違いないのに、新卒は就職難という矛盾・・・
若者が遊ぶ余裕がなく、夢を持てない社会では何も良くなりません。
ゴルフは楽しい遊びです。次の休日にゴルフをするために今日も一生懸命働こう!というのは、話が飛躍しすぎかもしれませんが、節約ばかりの毎日、安いものばかりをよしとする風潮は変えなければなりません。
物品、サービスを問わず、価値あるものにはそれなりの金額を払う必要があります。一見全く関係なさそうな職種でも、必ずどこかでつながっているのです。例えば我々ゴルフ場にも、資材屋さん、食品屋さん、車屋さん、等々様々な業者さんが仕事に携わっているので、どこかで好回転を始めれば経済はきっと良くなるはずです。
ところで、このコラムは経済や社会情勢がテーマではなく、本業のコースメンテナンスに話を戻さなくてはなりません。
芝生が植物である以上、与える水が大切であることは、これまでにも何度も書いてきましてた。そしてその水源が各コースによって様々であることも、少しは理解して頂けると思います。
当倶楽部が井戸や沢水は全くなく、雨水を人工池に貯めて使用しているという「ボヤキ」も毎年繰り返していますが、ないものねだりを続けても、ポジティブな発想は生まれてきません。そこで今年は、ほんの少し新たなチャレンジをすることにしました。
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散水用貯水池(1)
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散水用貯水池(2)
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送水用フロートポンプ
この貯水池の水は、季節により水量、水質がかなり変化します。その悪化した水を直接散水するのではなく、補助タンクを利用して活性化させた水を地下タンク(2次タンク)に混ぜて使用するシステムが今回の試みです。
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不要となった水道タンク
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タンクの移動
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ポンプ小屋設定箇所
幸い場内に不要となった水道用の10tタンクがあったので、今回利用することができました。貯水池から送水され250tの地下タンクに蓄えられた水を小型のポンプで10tタンクに汲み上げ、処理された活性水を点滴のように戻す。この水を散水配管からスプリンクラー等を使って芝管理に利用したい・・・ というかなり壮大な計画。
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受水槽設置完了
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地下タンク上部
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圧力タンク
正直、私自身未知の部分が多すぎるのですが、これまでに実践してこられた例を見学すると、「害がない」ことは解っています。
では、タンク内で水を活性化させる仕組みについて簡単に解説します。微生物が有機物を分解する能力を高めるための環境を整える技術で、中に資材を入れた籠をバイオリアクターと呼んでいます。このリアクターの中にはミネラルが豊富な鉱物と腐植を固形化した資材が含まれていて、水中でこの装置に酸素(エアー)を送ります。
元来、自然の森の中で行われている浄化作用をプラントで再現したもので、B(バクテリア)、M(ミネラル)、W(ウォーター)の略でBMW技術ともよばれています。
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リアクター設置
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給水開始
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曝気中タンク内
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曝気用エアーポンプ
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受水槽~250tタンク
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オーバーフロー開始
こうして今年始まった試みですが、まだ微生物が活発に動く温度でもなく、芝の生育も止まっている状態なので、効果のほどは解りません。これから水質データ(COD,BOD,PH,NH4,・・・など)を監視し、変化が現れるのを期待しています。
ただし、最も不安なのが、浄化され活性化した水が末端まで変化なく到達するのか?という点です。コース内には本管だけでも数10km、枝管まで加えると散水するまでの配管距離は膨大です。
結果を楽しみにしながら、成果が現れた時に「第2弾のコラム」を書きたいと思っています。
清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰