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グリーンキーパーのひとり言44

平穏なコース管理

「このたびの東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。」
前回のコラムをホームページにアップしたのが3月10日の木曜日。
翌11日の金曜日が、我々日本人にとってこれほど大変な日になろうとは、夢にも思いませんでした。
清澄ゴルフ倶楽部では、震度5強の揺れが3分近く続いたものの目に見える被害はほとんどなくホッとしています。しかしながら、他のサービス業と同様に、日本中が自粛ムードの中、ゴルフどころではなく、私達もなんとなく力の入らない日々を送っていました。被災地周辺から届くゴルフ場関連ニュースも、甚大なコースの被害や、雇用の問題など、暗い話題ばかりで先行き不安が募ります。
しかし2ヶ月経った今、コースに目を向けると芝が青くなっています。震災がちょうど芽吹き前だったため、気分的には「2度と緑にならないのでは?」というほど落ち込んでいましたが、自然と植物は偉大です!
フェアウェイやラフの刈り込みが始まり、プレーヤーも戻ってくると、平穏な日常生活の有り難さをひしひしと感じます。春が来ても災害や原発の影響で作業ができない農家、そしてゴルフ場の方々のストレスは、どれほどでしょうか?

  • フェアウェイ刈

  • ハチとツツジ

  • ラフ刈

異常気象という表現が通常に使われるので、今年も例外ではないのですが、ここ埼玉では3月、4月の降水量が平年の三分の一以下で乾燥が続きました。2ヶ月で84mmでしたから、昨年の277mmと比べて非常に少なく、芝の生育には水分不足でした。
5月中旬にようやくまとまった降雨があり、日本芝の緑も色鮮やかになってきました。刈り込み、肥料撒き、更新作業など平穏な仕事に追われることが、今年はとても幸せです。

  • エアレーション

  • 目砂散布作業

  • 肥料散布作業

バブル経済崩壊後、経費削減の逆境から我々の管理技術が飛躍的に伸びたように、今回の震災もへこんでばかりはいられません。日本に約2400コースあり供給過多といわれ続けているゴルフ場が、本意ではないにしろ減少し始めています。日常生活さえままならない被災地の人々にとって、レジャーに目を向けることは少し先かもしれません。
しかし、自粛イコール復興に繋がらないことは誰もが知っています。元気な地域と人が働き、余暇を楽しむことが経済活動を活発にします。
ゴルフ界でも、個人、団体を問わず様々なチャリティー活動が行われています。当クラブにも少しずつコンペの予約が入り始め、「○○大震災チャリティー・・・」などの嬉しいコンペ名も見え始めました。それらの活動に相応しいコースを提供することをモチベーションに、今年もコースメンテナンスをがんばります。

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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