コラムColumn

グリーンキーパーのひとり言52

夏の準備

+1のスコアでジャスティン・ローズ全米オープン初優勝!
今年はメリオンGCというモンスターコースで行われたこの大会。トータル距離は短いものの、バックナインにはPar5がひとつもなく、まさに我慢比べ・・・
それよりも世界のトップアスリートを苦しめたのが、ポアナ(スズメノカタビラ)混じりの凹凸グリーンでした。同時期に開催されていた国内のシニアや女子のコースと見比べると転がりの違いが一目瞭然・・・ 皮肉にもこの素晴らしい日本のグリーンコンディションが、海外での日本人選手の苦戦につながっていることは、一般にはあまり知られていません。
もちろん我々グリーンキーパー達は、日々滑らかな転がりを目指してグリーンをつくっています。そして多くの日本製品に見られるように、日本人は感性が繊細なのです。逆に少々の凹凸では動じず、真っ直ぐに打ってくる「ノー感力」(笑)のある外国人選手は、日本の素直なグリーンでは面白いようにパットが入ります。その結果、ラフの芝種の違いなど、ものともせずに優勝をさらっていきます。そんなタイガー達があれだけ苦しんだ「ポアナ混じりの高速グリーン」とはどれほどのものだったのでしょうか?
参加した日本人選手と話がしてみたいです。

  • ポアナ(カタビラ)グリーン

  • 6月の朝

  • スプリンクラー移動

梅雨真只中の関東地方ですが、今年も春からの水不足が深刻です。5月の月間雨量が過去最低の29.8ミリで、昨年でも270ミリですから、いかに少ないかお解りでしょう。
昨夏の渇水で日本芝がかなりのダメージを受け、対策として緊急用ポンプの設置やオーバーフロー升のかさ上げ工事をしてきましたが、夏までに水が確保できなければ意味がありません。幸い12日から40ミリ程度の降雨があり、一息ついていますが、水がめを満たす量ではありません。カラ梅雨にならないことを祈っています。

  • 現在の貯水池

  • 満水時

  • 昨夏の渇水

芝を育てるためにどうしても仕事柄「肥培管理」などに頭が行きがちですが、何といっても大切なのは「太陽と水」です。太陽が隠れないと雨が降らないので、矛盾しているようですが、このバランスが大切です。異常気象という言葉が多用されるこのごろは、このバランスが狂っています。我々は何とかしようと資材や労力を使うのですが、天候が良く、適度に雨もあって、何もしないで刈込んでいるだけの方がコンディション良好なのは皮肉な話です。
今回の全米オープンもそうであったように、雷雨や突風などの荒天で、予定通りに競技日程が進まないことが最近増えたよう思います。人間の経済活動ばかりが原因ではないでしょうが、「地球のバランス」が崩れつつあることに、少し不安を感じています。
大きな流れには逆らえないので、目の前の「やるべきこと」をしっかりクリアして、来るべき夏に備えたいと思います。これって「ゴルフのコースマネージメント」と同じ考え方ですね。

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

コラムトップへ戻る

アクセス Access

東松山I.Cよりお車でわずか10分