コラムColumn
グリーンキーパーのひとり言48
埼玉オープンゴルフ選手権大会
2012年07月10日
梅雨の真只中の7月2日、3日の両日、当倶楽部で第9回埼玉オープンゴルフ選手権大会が開催されました。埼玉県プロゴルフ会主催の賞金総額435万円という小さなトーナメントですが、地元のプロと研修生を中心にアマチュアやジュニア(中学生、高校生)も参加する地域の大切なイベントです。付け加えると、数年前、アマチュアで衝撃的なツアー優勝を飾った直後の石川遼プロが出場し、ハイヒールのギャラリーや過激な報道陣で話題となった大会です。(笑)
コース管理もこのイベントに合わせて、逆算するかたちで作業工程を組んできました。しかし梅雨時期は天候で予定変更をすることも多く、頭を悩ませていました。さらに6月19日には季節外れの台風4号上陸! 倒木などの被害は最小限だったものの、短期間に100mm以上の降雨もあり、バンカーの修復など余計な作業にあたらなくてはなりませんでした。
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台風4号被害
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大会看板
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大会本部
天気予報とにらめっこしながら、何とか前日までにフェアウェイ等の刈込も終了し、グリーンも4,5日降雨がなかったことで硬く締まってスピードも出てきました。 ところが、大会前夜予報通りの雨・・・
転がりは11フィート以上をキープしていたものの、ボールが予想以上に止まりやすくなってしまいました。キーパーとしては、残念な気持ち半分、これから夏をむかえる事を考えるとホッとした気持ちもあり、複雑でした。
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グリーンローラーレンタル
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バンカー均し機レンタル
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12フィートの高速グリーン
このトーナメントは我々も通常管理の間で行うものなので、必要以上の人員とコストはかけられません。そんな中、機械のS社とM社には足りない機械を協力して頂き本当に助かりました。決勝2日目の朝にはグリーンも過去最速の12フィート以上に仕上がり、トーナメントらしくなりました。
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練習場風景
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練習グリーン
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予選スタート
こうして無事初日の予選が総勢約160名でスタートしましたが、暫くすると競技委員長から「問題発生」の連絡が入りました。「3番ホールのカップ位置が傾斜で止まらない・・・」 私と競技委員長が現場に到着すると、3番のショートホールでは、すでに5組待ちの大渋滞です。
しばらく静かに観戦していると、カップ手前ギリギリまで来ないボールや横からアマサイド(※切れていく下側)に垂れていくものはグリーンの外まで転がっていました。
しかしこの時点で既に通過した選手もいるので、カップを切り直すわけにもいきません。もちろんこのホールロケーションは競技委員さんが決めたもので、我々には責任がないのですが、気が気ではありません。結局カップ周辺はギリギリ止まるという判断で競技続行となりましたが、予選は人数も多くプレー時間の長い大変な一日となりました。
今回の競技コンセプトが、「ジュニアを含めて、厳しい競技のセッティングを体験してもらう」というものだったので、通常では考えられない高速グリーンの中で発生した問題でした。その中でも予選2アンダーが3人!トップタイにいましたから、さすがプロ!と感心させられました。
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問題の3番ショートホール
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バンカーすぐ上のピン
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予選結果速報
決勝はジュニア枠10名を含む約100名に絞られ、曇天の中スタートしました。何とか雨が一日もってほしい・・・と願っていましたが、予報通り昼過ぎにはポツポツと降り始めました。そんな中優勝争いは白熱し、バックナインに入ると鈴木一徳プロが6アンダーまでスコアを伸ばし2位以下に3打差をつけて残り2ホールとなりました。これでほぼ決まり!と誰もが思っていたのですが、ここから17番で寄せワンならずボギー、18番OBのダブルボギーというまさかの展開で4名によるプレーオフに突入しました。
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プレーオフ開始
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1ホール目2名脱落
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清水プロ最後のパット
10番、18番繰り返しのサドンデスで、鈴木一徳、清水洋一、貴田和宏、伊佐専録のプロ4名でスタートしたプレーオフは、1ホール目のロングホールでバーディーを取れなかった2名が脱落し、伊佐プロと清水プロの一騎打ちとなりました。18番はスプーンでフェアウェイをとらえた伊佐プロは2オンに成功し、ラフからの清水プロがグリーン奥に外す展開となりました。ここから微妙な距離のパーパットを清水プロが決めきれず決着!
伊佐専録プロの優勝です!
昨年はレギュラーツアーでもQTから出場権を得ていましたが、残念ながらシード権は取れず、現在はチャレンジツアーで活躍中です。28歳、身長190cmの300ヤード超、文字通り大型プレーヤーです。どんな試合でも勝つのはひとり。何か持っていることは間違いありません。これをきっかけに今後の活躍を期待しています。
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プレーオフの伊佐選手
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伊佐プロ優勝!
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ジュニアの部表彰
ジュニア選手の活躍も素晴らしいものがありました。清澄の7000ヤードを超えるティーから2日目にはパープレーでまわった中学生もいて将来が楽しみです。ただそのショットは体を目一杯しならせて250ヤード以上飛ばしてくるので、見ているこちらの背中がいたくなりました。(笑)
ともかく2日間無事に終えることができてホッとしています。
表彰式で「この大変な時期にここまで仕上げて下さったコース管理の皆様に感謝します。」というお褒めの言葉をプロ会の須崎会長から頂き、大変嬉しく思うと同時に、今回の経験が当クラブのコースマン達にとっても1ランク上のメンテナンスを目指すきっかけになれば最高です。
清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰