コラムColumn
新米支配人のひとり言2
プレースタイル
2021年06月07日
ゴルフは基本的には自分のボールを自分の責任において、できるだけ少ない数を目指して打っていく競技です。1組3~4名で競うのが一般的ですが、コロナ禍では、2サムは勿論、完全に1人でのプレーまで容認するコースも出てきました。
元々歩いて18ホール回るのが当たり前の時代から、乗用カートが導入され、今ではほとんどのコースで何らかの形で使用されています。
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手押しカート(電動)
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乗用カート(電磁誘導)
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不要になったマンコンベア
乗用カートプレーも多様化しており、自分で運転する自走式、電磁誘導線を入れたリモコン式、そこにキャディが付く場合とセルフのケース・・・ さらには、フェアウェイに自走で乗り入れを許すコースも増えてきました。
また近年急速に普及しているのが、カート搭載型のGPSナビゲーションシステムです。これらの機器は単にホールまでの残り距離を教えてくれるだけではありません。前の組のカートとの距離を知ることによる打ち込み防止、コースや施設の案内、ボールマークの補修マナーからカラスの悪戯注意まで、まさに情報の宝庫です。 さらに当クラブでも採用している「スコア管理システム」は自分達のスコアばかりか、コンペの途中経過まで表記され、ちょっとしたツアープロの気分も味わえます。クラブ側としてもこれまでは、大きなコンペの集計には時間がかかり、入力間違いも少なからずありましたが、現在では最終組ホールアウト後、速やかに幹事様に結果をお渡しすることができるのです。
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GPSナビゲーション
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リーディングボード
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ラインを読むキャディ
業界では金額の優位性もあり、セルフプレーが大勢を占める流れとなっています。今後もこの傾向が続くことを否定はしませんが、「キャディ付きプレー」を望むお客様が、根強く一定数いるのは事実です。
この需要がなくならない理由を一言で言うなら、一部のプレーヤーが「キャディ付きプレーの楽しさを知っているから!」だと思います。ではキャディ付きプレーの楽しさとはいったい何なのか? クラブ側からすると「キャディの役割とは何なのか?」という話になってきます。
キャディさんの仕事は、「プレーヤーを助ける仕事」ですが、その内容は非常に多岐にわたります。ボールの確認からクラブの受け渡し、残り距離やグリーン上ラインのアドバイス、といった基本的な業務がしっかりできることは勿論、1日を楽しませる「会話力」も重要な能力と位置付けられています。さらに付け加えるならば、アドバイスやコミュニケーションも「プレーヤーの要求は人それぞれ」なので、そこに合わせるための「空気を読む力」は必須です。1例ですが、どんなにグリーンのスピードやラインを熟知していても、キャディの情報を、最初から聞きたがらないお客様も少なくありません。そんな時は「聞かれたら答える」姿勢が正解で、そのプレーヤーが迷った末に頼られて、ジャッジが一致した場面では、二人の信頼関係は一気に深まります。
清澄ゴルフ倶楽部は基本的にはお客様にセルフの選択権をあげておらず、乗用カートキャディ付きのプレースタイルをお願いしています。
接待利用も多いので、プレーのサポートはもとより、組の雰囲気づくりや盛り上げ役もキャディに求められると感じています。特に若い世代では、「セルフプレーしか経験がない・・・」お客様も少なくないので、「やはりキャディさんがいるとスムーズだし、楽しかった!」と思って頂かなければリピートは期待できません。
私が学生のころにキャディのアルバイトをした時代は、基本的に全組キャディ付きのラウンドでした。ざっくり2000コースに50人が在籍していたとして、全国に10万人もの職業キャディがいた計算ですが、おそらく現在では10分の1以下に減っているでしょう。
キャディの仕事は、多くのお客様と貴重な出会いがあり、長い時間を共有する中で、様々な気配りを必要とする究極のサービス業です。このような素晴らしい職種が廃れていくのは残念でなりません。
しかしどんなに乗用カートやナビゲーションシステムが発達しても、「キャディ付きラウンドの楽しさ!」を知るプレーヤーがいる限り、このプレースタイルは存続すると私は考えています。
孤独なゴルファーの唯一の味方になれるのは、「キャディさん」だけですから・・・
清澄ゴルフ倶楽部 支配人 野呂田 峰