コラムColumn
グリーンキーパーのひとり言34
ゴルフのマナー
2009年03月03日
新年になり、「今年もがんばるぞ!」と気持ちだけは負けないようにしていたら、あっという間にもう3月・・・。
世の中はゴルフばかりか、レジャーの話題などタブー視されるほどの不況風が吹き荒れています。でもこんな時ほど、スポーツをして気分転換することが大切です。大自然の中でゴルフをしてみませんか?
きっと悩みなんてボールといっしょに飛んでいってしまうでしょう・・・(笑)
長年ゴルフと共に育ち、ゴルフ場のメンテナンスを仕事にしてしまった私が、最近とても気になることがあります。
学生時代のキャディー業務からグリーンキーパーとなった現在までどれだけのゴルファーを見てきたか知れませんが、大衆化して身近になった分、マナーの低下も目に余る昨今です。中でもコースを大切にしないゴルファーが増えることは、職業柄本当に悲しくなります。
ゴルフのルールやマナーは決してゲームをつまらなくするものではありません。良いゴルファーは同伴競技者や後続組のプレーを気持ち良くサポートし、自分自身のプレーも高めてくれるのです。ただし、ビギナーを否定しているわけではありません。誰もが最初は知らないのです。我々がマナーの重要性を訴えることで、「本当のゴルファー」を育てたい。それが長い目で見たときのゴルフ人口拡大につながると信じています。
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足跡の残ったバンカー
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きちんと均したバンカー
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整備されたバンカー
「バンカーに打ち込んだプレーヤー」それは大なり小なりトラブルです。それをスマートに脱出するには・・・。手近なレーキを一本持ってボールに近づきます。そして、スイングのじゃまにならない所(バンカー内でもOK)にレーキを置き、打ち終わったら跡を均しながら後方の低い所から出ます。
これが手順を間違えると・・・あせってボールの所に行き、打ってからキョロキョロしてレーキを探し、もう一度足跡のところまで足跡を付けながら(笑)行って、最悪の場合高い所からむりやり上がるなんてかっこ悪いゴルファーに・・・。
このパターンの人は途中からキャディーさんに「私が均しますから、そのまま上がって下さーい」なんて助け舟を出されますが、自分の後始末は自分でやりましょう!
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整備された急斜面
バンカーだけではありません。前の写真のようなグリーン前の急斜面をよじ登っているプレーヤーを見かけますが、いくら丈夫な芝も可哀相です・・・。ピンばかり見ずに少し回っていきましょう。
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ディボット埋めの良い例
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ディボット埋めの悪い例
当倶楽部のようなコーライ芝のフェアウェイでは、ターフ跡に砂を入れて芝の生育を助けると同時に、後続のプレーヤーが凹地から打つトラブルを回避します。これも適量の砂を入れた後に、足の裏で平らにすることが重要です。山盛りの目砂は、刈込み機械の刃も傷めるのです。
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最近のソフトスパイク
最近は繊細で高速のベントグリーンがあたり前になってきたので、グリーン上での歩き方も重要なマナーです。ソフト(?)スパイクとは名ばかりの登山靴のようなプラスチック鋲もどうかと思うのですが、それでグリーン上を引きずられたらひとたまりもありません。特にゴルフでカップまわりは大切です。ホールインしたボールもカップから1足分は離れたところから拾いたいものです。
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乗用カートの轍
上の写真は知人のコースのティーグランドです。状態の良いときはサービスで「フェアウェイ乗り入れ可」にしているのですが、セルフプレーなので「マナーの悪い客はティーの上でも走ってしまう・・・グリーンだってやられちゃうかも・・・」と憤慨しています。
我々の立場からすると信じられない話ですが現実です!
いくらこんな時代でゴルフ場の立場が弱くなっても、マナーに関する注意だけは地道にしていかなくてはなりません。それが楽しいゴルフを広めることになるのですから・・・。
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トーナメント後の練習グリーン
一般プレーヤーばかりではありません。仕事柄プロのトーナメントをよく見学に行くのですが、ここ数年すごく気になっていることがあるのです。
プロはお金がかかっているので、パッティグ練習を本当によくやります。練習グリーンにも様々な練習器具を持ち込み、正確なストロークの練習を繰り返すのですが、中に1時間近くもスタンス位置を変えないで打ち続けるプロがいるのです。
「ボールはどうするの?」と思うでしょうが、トッププロには殆ど専属キャディーかマネージャーがつくので球拾い(転がし戻す)をするのです。
このプロ達は、グリーンが植物であるという本質的なことを忘れているようです・・・。どんな植物も長時間踏み続けたら、呼吸もできないし、光合成だってできません。
上の写真は某有名トーナメントの1週間後に見たものですが正直悲しくなりました。会場となるコースのキーパーは主催者や選手会にこの「人災」をはっきりと言うべきです。プロゴルファーはマナーの面でもゴルファーの頂点であるべきだと私は思っています。
清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰