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グリーンキーパーのひとり言56

台風一過

私の経験した中で、最も雨の多い夏が終わりホッとしていた10月に、2週連続の大型台風のご来場! お客様キャンセルの嵐とともに去っていきました。
18号は200ミリの大雨で、大災害にはならなかったものの、バンカーの崩れや水たまり、 道路や排水マスの陥没、法面の土砂流出等々。通常作業の忙しい中で、余計な仕事を増やしてくれました。
しかしこの埼玉エリアは、今のところ台風では大きな被害が少なく、夏の暑さを除けばとても良い所だと感じています。台風一過の朝コースを見ていると、光り輝いていて「生きている」ことを実感します。大げさでしょうか?

  • 台風一過

  • 水没したバンカー

  • 排水マス水抜き

  • 法面土砂流出

  • 落葉の散乱したコース

  • 流されたアスファルト

今年の夏を振り返ると「雨が多かった」と言いましたが、雷雨のようなゲリラ豪雨も数回あり、これまでにも度々登場する「貯水池」が満水のまま現在に至っています。例年の夏はフェアウェイなどの日本芝も散水作業に追われるのですが、それもなく、水さえあれば伸びるので、逆に刈込み作業が大変でした。それでも真夏にコースの芝や花壇が生き生きしているのはとても綺麗です。
ところが、この高温多湿条件が、肝心のベントグリーンとっては乾燥害よりも厄介で、目が離せない毎日が続きました。
秋になった今では回復していますが、楽な年はありません。
こんな過酷な夏でしたが、休場日に消防署の協力を得て、消防訓練とAEDの講習会も開催されました。ゴルフのプレー中に病気や事故で倒れるお客様も毎年ゼロではありません。我々従業員が初期の救急処置を施すことで、尊い命が助かる可能性が少しでも上がれば良いと思います。

  • 満水の貯水池

  • グラスバンカーの刈込み

  • 満開の花壇

  • 夏の弱ったグリーン

  • 現在のグリーン

  • 消防訓練

今回の台風18号、19号が原因とは特定できませんが、17番ホールの池に珍客がありました。淡水の「マミズクラゲ」という生物で、20年以上自然の中で仕事をしてきた私も初めて出会うものでした。
早速ネット等で調べてみると、生息していても我々の目に触れることが珍しい生物であることがわかりました。海のクラゲも同様ですが、クラゲはいわゆるクラゲの形ではないプラヌラやポリプと呼ばれる姿のステージがあって、マミズクラゲのように親の姿で2cmほどしかないと、事実上見つけることは困難です。
まれにしか発見されないマミズクラゲは、気温、水温の急激な変化で親になる場合が多く、子孫を残す危機がない場合には、無性生殖で細胞分裂のようにポリプが増殖するそうです。
自然変化を察知して親クラゲになり有性生殖で子孫を増やすところは、自然の神秘です。親クラゲは1週間程すると放精・産卵し、死んでしまうようですが、今回のように台風が引き金となって突然現れて、地方新聞などに取り上げられると書いてありました。
松も樹勢が弱ると松ぼっくりを多く付けるように、自然界では危機を迎えると、生物は本能的に子孫を残そうとします。
そういった意味では、日本の若者が結婚しない。子供をつくらない。という流れは平和の象徴? と考えるのは私だけでしょうか?

  • 17番ホール池

  • 捕獲したマミズクラゲ(1)

  • マミズクラゲ(2)

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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