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グリーンキーパーのひとり言27

冬の準備

前回、「夏の終わり」というテーマでコラムを書いてホッとしていたら、もう冬支度・・・
毎年の事ながら1年の周期が加速度を増しているような気がします。
暖冬傾向の昨今は、ベントグリーンを最もスリリングな状態に仕上げられるのがこの時期です。 夏場に芽数を落とし、なんとか生き延びた芝はこの短い生育適期に新たな根を作り、冬越えの貯蔵養分を蓄えるのです。不必要な肥料をやらない私の管理も、この時期だけは窒素を中心に、年間施肥の半分以上を投入します。春と違い、与えた肥料は芽数を増やし直立した芝芽を形成します。
 
先日、太平洋クラブ御殿場コースで毎年開催されるトーナメントを近隣のキーパーと視察してきました。毎年プロゴルファーアンケートで「良いグリーン」ベスト3以内に必ず入るほどの仕上がりです。 御殿場の久保田キーパーは「まだまだ不満はある」と言いながらも、問題のない状態でトーナメントを迎えられたことに余裕の表情でした。

  • 太平洋御殿場コース①

  • 太平洋御殿場コース②

  • 太平洋御殿場コース③

  • 太平洋御殿場コース④

  • 太平洋御殿場コース⑤

  • 太平洋御殿場コース⑥

(注)水曜日(プロアマの日)なので写真を撮っています。
 
ネットに「単に速いグリーンを目指しているわけではない。」とのコメントがあったように、凹凸の無い滑らかな面は、日本人の繊細な管理技術を感じさせるもので、我々同業者としても大いなる目標となります。 そしてグリーンだけでなく年間来場者の多い人気コースでありながら全体の綺麗さにも感心させられました。
プレーヤーにコースの綺麗さを感じて頂くにはいくつかのポイントがあって、それをしっかりと こなしていく事が私たちの重要な仕事です。
さて、話を当倶楽部にもどすと、これから冬を迎える様々な作業が始まっています。そのひとつはフェアウェイの着色です。私自身この作業に賛否両論があることは十分承知しています。 日本芝(コーライ)は休眠があって自然な色落ちが美しい! それに色を塗るとは何事だ! という反対意見が今にも聞こえてきそうです。
しかしあえて「これも管理技術」と私は言いたいのです。この時期、清澄でプレーされた方の10人に9人は着色に気付かない・・・と思います。(もちろん冬になればわかりますが・・・) 着色も塗料の種類、濃度、回数(1~3回)等々、様々な手法があって、当倶楽部では前述の御殿場コースほどの色付けはしていません。年内は緑が美しく、年を超えると徐々に退色していきますが、 ティーショットの目標となるフェアウェイのラインはしっかりと分かる程度と思ってください。そして芝の伸びないこの時期でも集草バケットを付けて定期的に刈り込みをします。 これも落ち葉や芝カスを集め綺麗にみせるための作業です。
晩秋にはその他にも様々な作業があります。排水マスやスプリンクラーのエッジを切ったり、落葉樹で悩まされる落葉清掃もこの時期の重要な仕事です。

  • 1回着色のFW①

  • 1回着色のFW②

  • 1回着色のFW③

  • バケット付FW刈

  • 排水マスエッジ切

  • スプリンクラーエッジ切

  • コースの紅葉①

  • コースの紅葉②

  • コースの紅葉③

通年営業のゴルフ場では、1年の区切りがあるようで無いのが現実です。四季のある日本で「どんな時でも美しく!」それが我々の目標です。

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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