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グリーンキーパーのひとり言24

ミミズの糞塚

今年の4月は、2月、3月の異常乾燥を取り戻すかのような雨模様の毎日です。本来なら春の晴天の中、花々が咲き乱れ、ゴルフシーズン到来!・・・・・といきたいところですが、フェアウェイも管理機械がなかなか入れず 苦戦が続いています。植物に水分が必要な事は誰でも知っていますが、その量と時期を我々が決められないところが、この仕事の永遠の悩みです。
ところで、当倶楽部のある東松山市は牡丹(ボタン)の花が有名で、市の花にもなっています。そして清澄ゴルフ倶楽部のマークにも使われてるのですが、 実はコース内には1本も植えられていませんでした。
ボタンは大輪で、咲いている時期は素晴らしいのですが、それ以外の11ヶ月は決して綺麗ではありません。そこで今年は花の時期限定のミニ牡丹園をつくっています。 来場の折には是非ご覧下さい。

  • 玄関前の牡丹飾り

  • マスター室前の牡丹飾り

  • 花壇のチューリップ

さて、今回はミミズの話題です。
ミミズに限らず「ニョロニョロ系」は見るのも嫌!という方は多いと思いますが、ゴルフ場の芝地には結構いるんです。
ミミズは生態系の中でも重要な生物で、農業では「益虫」に分類されています。植物の残渣や落葉、芝地では刈カスなどを食べて、これらの有機物を分解し団粒状の糞として土中や地表に排出します。この活動は植物の吸収しやすい養分をつくると同時に様々な微生物を活性化させ、いわゆる有機農法では主役となる益虫です。
ところが綺麗な芝地を提供したい我々ゴルフ場では一転して悪役です。芝生表面に排出される糞塚が美観を損ねるばかりでなく、透水性の悪い所で特に糞塚を上げるために、その作業がさらなる排水不良を引き起こすのです。

  • ミミズの糞塚①

  • ミミズの糞塚②

ゴルフ場の「害虫」ミミズを減らすために、我々はいくつかの手法を知っています。しかし、基本的に他業種で益虫扱いの生物を退治するような研究をする先生方がほとんどいないのが現実です。
 
① 殺虫剤による駆除
・土中で殺すもの、上に出て死ぬもの等数種類あり、一時的に減らす効果
 
② 自然界にあるサポニンという成分の土壌改良剤を使用
・ほとんど地表面に出てくるため、美観と後始末に大きな問題
 
③ 新しい土壌改良剤による産卵抑制テスト
・雄雌同体のミミズの産卵を抑制する資材で固体密度を減らすために使用
・一定の効果は上がっているが、量、使用時期等を検討中

  • サポニン資材

  • 産卵抑制資材

その他にも、粗めの角ばった目砂を撒くとミミズが粘膜を傷めるために嫌がるので効果があるという説もありますが、同時に刈込み機の刃も傷めるので・・・・・と、なかなか良い解決策がありません。
産卵抑制剤に期待はしていますが、メーカーの方々にはこの場をお借りして、コストダウンの努力をお願いしたいと思います。

清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰

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