コラムColumn
グリーンキーパーのひとり言22
落葉清掃
2007年01月22日
新年明けましておめでとうございます。
コラム(グリーンキーパーのひとり言)も4年目に突入しました。
はたしてどの程度の方々が見られているかは分かりませんが、今年もコースメンテナンスに関する話題を提供したいと考えています。
現在は、コース内の芝もほとんど休眠状態になり、我々の仕事もホッと一息つける季節です。
ところがこの時期「グリーンのシート掛け」と並んで頭の痛い問題が落葉樹の落葉清掃です。昨年末は暖冬の影響で紅葉が遅く、必然的に葉が落ちるのも例年より半月遅くなりました。 早い年は年内に清掃もほとんど終了し、清々しい気分で新年を迎えられるのですが、今年はかなりやり残した状態での年越しになってしまいました。
この辺りの山々は元々武蔵野の雑木林で、ナラやクヌギといった落葉樹の宝庫です。
「新緑や紅葉が綺麗ですね・・・」とお客様には言われるのですが、落葉の処理が大変です。スィーパーをかけたり、ブロワーで集めたり、どんなに掃除しても一度北風が吹くと元の木阿弥・・・。 この繰り返しを2ヵ月間も続けるのです。
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紅葉
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落葉①
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落葉②
落葉の清掃方法や道具はゴルフ場によって様々です。雑木のそれほど多くないコースでは乗用スイーパーによる清掃が主となりますが、 当倶楽部のように芝地に積もるほど大量にあると、ブロワーの風圧で山にしてから手集めする方が効率的です。そして収納するのも袋ではなく畳2~3枚程度のブルーシートを使用します。 古くからの日本文化である風呂敷の要領で落葉を包み運ぶのですが、我々の日常生活ではあまり使われなくなった「風呂敷」の便利さを痛感します。1枚の平面にしてから物を載せ、その物 の大きさに合わせて袋状に包む・・・。これが何度も再生できるのですから非常に理にかなっています。
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ブロワー集め①
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ブロワー集め②
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集積終了
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ブルーシート収納①
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ブルーシート収納②
こうして集めた落葉を以前は2tトラックに積んで運んでいましたが、フワフワの落葉はいくら踏んでもそれほど積めませんでした。 そこで、他のゴルフ場のキーパーから教えてもらって導入した画期的な方法がパッカー車(ゴミ回収車)です。
これだと落葉を圧縮しながらかなりの量が積めるので、運搬手間が省け効率的です。
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パッカー車収納
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パッカー車排出
さて、こうして集めたものをどうやって処分するか?
ゴルフ場では落葉以外にも芝の刈カスや伐採木など多くの自然ゴミが出ます。焼却炉がダイオキシンの問題で実質的に使えなくなってから、これらの処分は本当に頭の痛い問題になりました。 現在、当倶楽部では2つの方法で処分しています。
①大規模な園芸業者が無償で引き取ってくれます。
②その他の枝葉や刈カスは有料でゴミ回収業者に出しています。
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落葉集積所
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業者回収コンテナ
その他にも自社で堆肥化してリサイクルする方法や、ダイオキシン除去装置を設置して焼却炉を再利用する方法など、ゴルフ場によって様々な方法が検討されています。
家庭ゴミや産業廃棄物など、我々の生活が便利になるほどゴミの量も増え続けるでしょう。ゴルフ場の刈カスや落葉などの自然物さえも「ゴミ」に分類される時代です。 適正な処分は無論大切ですが、法規制と同時に処分方法や費用の問題も解決していかないと、不法投棄や企業倒産増加の原因にもなりかねません。
清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰