コラムColumn
グリーンキーパーのひとり言15
スプリンクラーヘッド上げ
2006年02月15日
この冬は20年ぶりの寒波到来で、本当に寒い日が続いています。梅や桜の開花も、昨年が暖冬だっただけに、特に遅れているように感じます。しかし確実に春はやって来て、芝も動き始めます。
「芝管理は水管理」という話は、これまでにも何度となく言ってきましたが、潅水と排水は本当に重要です。
当倶楽部のように、ある程度散水設備(スプリンクラー)の整ったコースでは、そのメンテナンスをしっかりする事が、適切な水管理を助ける事になります。 スプリンクラーは人工設備ですから、必ず故障しますし、日常のメンテナンスが必要です。
スプリンクラーヘッドは設置当初、地面と同じ高さであったものが、サッチ(芝カス)の蓄積や目砂の施用等で段々下がっていきます。(実際には周辺が上がっていくのですが・・・)
10年も経つと、ひどいものは10cmも低くなり、散水時にポップアップしてもきちんと潅水できなかったり、プレーヤーがつまづく事故が起きたりします。
そこで、ヘッドを元の高さまで上げるメンテナンスが必要になるのです。
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周辺より下がったヘッド①
■ 作業手順
①スプリンクラーの設置構造
当倶楽部のスプリンクラーには、ほとんどのヘッドの下に「収縮ジョイント」、その下に「スイングジョイント」と呼ばれる「高さ調整資材」が組み込まれています。
今回は、ほとんどのヘッド下がりが10cm以内ですから、上の収縮ジョイントを右回転させる事でジョイント部が伸び、ヘッドを上げる事ができます。
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収縮ジョイント
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スイングジョイント
②ヘッド上げ
まず収縮ジョイントを動かし易くするために、周辺部をスコップで少し掘り、ヘッドの周辺に空間を作ります。ヘッドが若干動くようになったら、特性(溶接自作)の回旋棒で右回転させます
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周辺空間づくり
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自作回旋棒
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回旋中
③仕上げ
スプリンクラーヘッドが地面と同じ高さになったら回転をやめ、周辺の空間部分に土入れをして仕上げます。
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周辺土入れ
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ヘッド上げ終了
スプリンクラーヘッドはグリーンだけで約100ヵ所、ティー、FWを含めると何百個という数がありますから、かなり地道な作業です。
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コース内移動風景
これからシーズンを向かえ、より良いコースメンテナンスをするために、その手助けとなる設備をしっかり管理することも我々の大切な仕事です。
昨年夏、大変苦労したように散水設備の故障やトラブルはコースにとって命取りになります。自然の降雨にはかないませんが、散水設備の大切さを感じる夏が、今年もやって来ます。
清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰