コラムColumn
グリーンキーパーのひとり言2
グリーン刈り
2004年12月01日
ゴルフコースの命であるグリーンは原則的に毎日刈込みをします。刈幅22~26インチの「グリーン・モア」と呼ばれる機械を使い、歩いて刈るのが基本ですが、人件費削減と効率化が進む昨今では「乗用3連グリーンモア」を使うコースも増えています。当倶楽部ではグリーンまわりが狭い事もあって、全て「手刈り」で作業しています。この作業は、当然プレーヤーのトップスタート前に練習グリーンから逃げる形で行われます。1ホール約30分程かかり、4ホール/1人分担ですので、終了まで約2時間の「歩き仕事」となります。
グリーン刈り
グリーンモア
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手刈り用の26インチグリーンモア
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ゲージを使った刈高調整
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乗用三連のグリーンモア
グリーンモアも各メーカーにより多少違いますが、およそ4㎜前後の刈高を前と後ろのローラー間の高さで調整します。
■ ラッピング
グリーンモアは芝刈り機の中でも最も重要で刃合わせもシビアな機械ですから、毎日「ラッピング」と呼ばれる刃の研磨を行います。刃は通常、リール刃という螺旋状の刃が正回転し、平らな下刃と当たる部分で芝をカットしていきます。これをラッピングマシーンで逆回転させ、そこに研磨剤(ラッピングコンパウンド)をつける事で微妙な切れ味を回復させるのです。言葉にすると簡単ですが、このラッピングという作業は機械各々の「クセ」や、「刃の枚数」にも影響され、非常に熟練を要する仕事なのです。
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ラッピング風景
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切れ味の確認
■ グリーンスピード
最近は新種のベントグラスの登場と共にいわゆる「低刈り」の傾向が強く、TV中継では刈高の低さを強調し、「刈高=グリーンのスピード」であるように伝えられていますが、実際には「刈高」はグリーンスピードを決める1つの要因でしかなく、「葉の密度」「葉幅の広さ」「茎の硬さ」「グリーン面の盤の硬さ」等、様々なアイテムによってその日のボールの転がりが決まります。
グリーンのスピードは「スティンプメーター」という世界中で統一された測定器を使用して、「○○フィート」あるいは「○○メートル」転がるという表示がされています。
スティンプメーターによる計測
ゴルフは大変難しいスポーツで私自身もなかなかうまくなりませんが、仕事柄グリーンだけは打ってみなくても面に乗ってさわってみるだけで、そのグリーンのおよその転がり具合がわかるのです。
■ 芝目について
グリーンの刈込みはグリーンモアを走らせ、外周部分で旋回し往復させることで進められます。このため刈り終わったグリーンをよく見ると、緑色の濃いラインと薄いラインが「ゼブラ模様」になっています。これは芝目がわずかに順目と逆目になっているためで、我々は一定の目を作らない為に毎日刈込み方向を変えています。その為にも「グルーミング」や「ブラッシング」といった芝を起こし、芝目を作らない作業が、日常頻繁に行われます。
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グリーンモアのグルマー
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すり込みブラシ
富士山周辺や風の強いコースなど、どうしても「芝目」の出来やすい地域がありますが、我々の仕事としてはなるべく「芝目」の無いグリーンを作る事が目標です。
あえて言うなら芝目はグリーンの傾斜と水の流れに左右されやすいので「下りの順目」「上りの逆目」と言う話は本当です。
この時期になると芝も冬色になり、今年も無事に1年終わった実感があります。来年もより良いコース作りを目指して頑張りますので清澄ゴルフ倶楽部を宜しくお願い致します。
清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰