コラムColumn
グリーンキーパーのひとり言53
2020年東京オリンピック開催決定
2013年09月27日
夏が終わり、竜巻など大きな爪痕を残した台風18号もコースには大した被害がなく、少しほっとしている毎日です。しかし最近の秋は本当に短くなりましたから、段取りよく作業を進めなくてはなりません。そんな中、東京オリンピック開催決定のビッグニュースが飛び込んできました。
リオデジャネイロでゴルフのオリンピック競技復帰が決まっていましたから、今回の開催地争いは、我々にとっても大きな関心事でした。
毎朝4時起きの(笑)私は、当然あの感動をリアルタイムで手にしましたが、プレゼンターの方々の活躍は本当に素晴らしかったと思います。昔から日本人は人前でアピールするのが苦手だとされていますが、さすがに国際的に活躍している彼らは、そのイメージを払拭してくれたようです。
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9月の清澄GC
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6mmタインのエアレーション
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霞ヶ関CC
開催が決まると、ゴルフの会場が霞ヶ関カンツリー倶楽部になることは、関係者から聞いていましたが、歴史的なイベントが埼玉県で行われることは、とても喜ばしいことです。
問題は8月の埼玉! 近年の猛暑を考えると、コースメンテナンスは大変です。7年後のゴールに向けてグリーンの芝種を変更するのか? 東コースを1グリーンにするのか? バックティーを新設して距離を伸ばすのか? 様々な改造を考えると年月が足りないくらいです。霞のキーパーさんはとても優秀で、これまでにもマスターズのオーガスタを含めて数多くの経験を積んできていますから、難解な要求にも対応できるでしょう。業界のためにも頑張って欲しいと心から願っています。
技術者にとって「良いものを見る」ことはとても大切です。最近は私も忙しさを言い訳に、あまり他クラブの見学をしていなかったのですが、最近千葉の某コースを視察する機会に恵まれました。こちらもいわゆる名門クラブで、林帯まで手入れが行き届き、感心させられました。名門ゴルフ場を見ると、どうしても土壌の違いや散水設備の良さなど、我々のコースに足りないものを感じて、嫉妬心が湧いてくるのですが、何とかそこを埋める工夫をしなければなりません。
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名門コースの練習場
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美しいコース
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スプリンクラー距離表示
話題を清澄に戻すと、猛暑を乗り越えフェアウェイの緑も鮮やかになってきた今日この頃です。が、最近残念な出来事がありました。8月の最終日に刈り込みをしていた機械から 作動油が漏れて、芝の一部が変色してしまったのです。ゴルフ場には油圧オイルを使用する機械が多数あるので、ホースが切れたりシリンダーが破損したりする事故が少なからず起こります。もちろん始業前点検を欠かさない当ゴルフ場でも、老朽化してきた機械ではその危険性が高まります。刈込み中の芝生にオイルが漏れても、直後には水分で濡れているのか、油で濡れているのか判別しづらいのは事実です。車の運転で「歩行者が飛び出してくるかも・・・」と危険予知するように、不測の事態に備えて作業にあたることが重要です。
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緑鮮やかなコース
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オイル漏れ直後
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芝補修
今回の事故は機械が老朽化しているためにアームに遊びができて、シリンダーとボディーが接触していたことが原因で、中のパッキンを破損していました。その部分を改良し、修理したので暫くは大丈夫でしょう。
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オイル漏れ機械
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オイル漏れシリンダー
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破損シリンダー
オイルが漏れた時の後始末として「何か良い方法がないか?」という話になった時に
(1) 界面活性剤(洗剤)で洗う
(2) 吸着資材を撒く
(3) 油圧オイルを生物オイルに交換する
などの解決案が考えられるのですが、実際には季節も夏場が多く、油自体が高温になっているため、漏れた瞬間に焼けている可能性もあります。やはり異常時の早期発見以外に方法は無さそうです。
実はこのような不幸な事故は、大きなイベント前にも起きることがあるのです。 私の経験の中でも15年以上前に男子のプロトーナメントで1度・・・某ゴルフコース14番ロングホールのフェアウェイで・・・ テレビ放映ホールでしたので、「映るな!」と手を合わせていましたが、運悪く最終組でジャンボのボールがオイル漏れラインの真横に・・・悲しい思い出です。
東京オリンピックを含めて大切な舞台では、裏方の努力がトラブルなくお披露目されてほしいと切に願っています。
清澄ゴルフ倶楽部 グリーンキーパー 野呂田 峰